アイドルが売れるために必要な要素(ドラフト)


はじめに

テレビ東京で番組のプロモーションやマネタイズのプランニングなど、主にマーケティング領域を担当している明坂です。

日頃から少なくとも平均以上にはコンテンツ(主に映画やバラエティや音楽、アイドルなど)を消費し、いまこれが支持されているのはなぜか、消費者ニーズの本質は何か、次は何が来そうか。みたいなことを考えながら生活しています。職業病とも言えるかもしれませんし元々そういった性格だからマーケティングという仕事をしているのかもしれません。

さて、もはや散々言われていることですが、テレビが情報取得のメインチャネルだった時代はスマートフォンと通信規格といったテクノロジーの進化によって終わりました。人はテレビよりはるかに多くの時間をスマートフォンを通じた情報取得に費やしています。

また、機器とプラットフォームの進化によって、スマホがあれば誰でもコンテンツを作成し発信することができるようになり、人脈や資金がなくとも実力と運で顧客を獲得することが誰でもできるようになっています。

今後もコンテンツを発信する人は増え、消費者が消費できる量以上に生産されるでしょう。今までも作るだけ作って日の目を見なかったコンテンツなんて山程あると思いますが、更にコンテンツの量は増えます。消費量も一定は増えますが比較的早く天井を迎えると思われ、もし作った結果反響を得たいのであれば戦略ありきでコンテンツを作らないと生き残ることはできません。少なくとも「同じようなあらゆるもののうちの1つ」ではなく、他のコンテンツとの差分を持った独自性を持つことが必要になってきます。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、あらゆるコンテンツと同様にここ5〜6年で大量に提供側生まれ、消費者のパイが天井まで来ている(と個人的に思っている)アイドル業界についてどうやったら売れることができるのか考えていきたいと思います。

アイドルの基礎力

アイドルという個人を3つの要素に分解すると
1.容姿 2.パフォーマンス 3.キャラクター

だと私は考えています。

1.容姿
そのまま見た目の話。人によって好みはそれぞれですが、橋本環奈さんや白石麻衣さんなどの圧倒的に多数に支持されるジョーカーみたいなもあり、理想の整形顔みたいなものも存在するので結果として一定のベクトルに収斂していく。
・多様性は相対的に低い(ヘッドが高い)
・伝わる速度が速いが知るための底は浅い

という特徴がある

2.パフォーマンス
歌唱力を始め、楽曲の良さ、ダンス、ステージングといった主に音源や現場で体感するもの。
・楽曲ジャンルが多数であるように容姿などより趣味が多様、表現の幅も広い
・伝わる速度はそこそこ速いが、深さもある

3.キャラクター
最も多様で、短時間ではわからない、また1つの側面だけでは理解しづらい。最も深みがあり本質的な人間そのものなので最終的になロイヤリティはここに帰属しやすい
・最も多様(テールが長い)
・伝わるまで時間がかかるし、直接でないと伝わりづらい

よく、センターの子は一番見た目良くて「入り口」と呼ばれ多くの人の注目を引き、最終的にグループのパフォーマンスや個々のキャラクターに触れてもらうことで、「やっぱれにちゃんだな」みたいなことを起こし、グループ全体の力を獲得します。

アイドルのポジショニング

あまりまだコンテンツが存在していない時代にはたくさんの白地があり、「めちゃくちゃ多くてめちゃくちゃ身近」「今までのアイドルらしからぬ汗だく全力のダンスと被せなしの歌」「1000年に1度の可愛さ」みたいな、比較的ステータスの中の少ない要素の組み合わせだけでもポジションを作れ(人の興味を喚起するインパクトを出すことができ)、ヒットしたアイドルもいました。ただ、今から同じことをやっても上乗せできる価値は「初々しい」ぐらいで、ブランドもスキルもない状態からの参入で戦略なしに勝てる市場ではない環境です。

ポジショニングの戦略とは狙う顧客のニーズを明確に定め、その枠の中で勝利できるだけの戦術を展開することです。場合によっては、既存のアイドルファンでない(まだ誰もターゲットしてない)顧客を狙うことで新たにポジションを作ることもあります。BiSやBiSHにおいてのバンド好き、BABY METALにおいてのメタル好き、ZOCにおける女性。というターゲットも既存のアイドルDD以外の顧客を取り込めたことが勢いの元だと思います。

ポジショニングの考え方はいわゆるマーケティングのSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)の考え方でいけると思うのでそのへんの話はマーケティングの書籍などをご参照ください。
いずれにしても、ターゲットに対して選んでもらえる他との差分を訴求できるポジションを取るのが望ましいです。

アイドルの推進力

多くの選択肢があり、明確な差分がないという市場のなかで何もせず現状維持ということは基本ありません。一度獲得した人気やファンも一定のスピードで減衰していくので、常に何かに向かって推進し拡大をしないといつか消えてしまうという厳しい環境です。ここでいう推進力を構成する要素を私なりに分解すると以下の3点です。

1.ストーリー
堀江貴文さんが仰っている話で「客はラーメンじゃなくて情報を食っている」みたいな話もありますが、実際商品そのものの力と同じかそれ以上に情報やストーリーと一緒に体感するということが顧客体験においてはとても重要です。
アイドルにおいても「XX年までに国立競技場でワンマンをする」「セルフプロデュースユニットでXX歳までに武道館に立つ」「ヤバいプロデューサーに地獄のような仕打ちを受けてでもアイドルになりたいという気持ちで頑張る」といった、見てる側がその先を見たくなりそのレールに一緒に乗るという状態にするというのはとても重要な要素です。
どこに向かうために、どういったストーリーを、どれぐらいの期間で描くか、によって基礎力との掛け合わせでよりコンテンツの力を伸ばす結果を生みます。

2.施策(仕掛けと仕組み)
奇抜なプロモーションをしかけたり、視聴者投票をしたり、TwitterやYouTube等のソーシャルメディアを活用したり、といったようなことを指します。仕掛けと仕組みの言葉の使い分けは話題化をする起点となる要素を発想することを仕掛け、話題が自然と拡大し継続する環境を構築することを仕組みと言っています。
たとえば、豆柴の大群ではクロちゃんへのヘイトが溜まった視聴者のエネルギーのはけ口としてプロデューサーを解任するか否かという仕掛けをCDの販売枚数によって視聴者が選ぶという仕組みを実現していました。

3.モチベーション
これは何においても当たり前のことですが、やはり演者のモチベーションは日々の意識や成長速度、もちろんパフォーマンスの質にも強く影響します。
日々色々なアイドルやタレントと接しますが、やはり勢いのあるグループはその勢いを作り上げるだけのモチベーションを感じることが多いです。(勢いあるけどモチベが低い、みたいなグループに出会ったことがない。逆はたくさんある)


さいごに

いろいろなアイドルを見ていて、意外とマーケティング的な観点で大体説明できるなーと思い、ここしばらくの考えをせっかくなので雑にアウトプットしてしまいました。
もうちょっと図表を入れるなどして改定していこうと思います。

ただ、こういった考え方で整理は出来ても、実際に「インパクトのある仕掛けを発想できるか」とか「いいクオリティのパフォーマンスができるか」とか「演者のモチベを上げられるか」とか「そもそもそのターゲットの中で勝てるか」みたいなこととは別の話です。ただし、どこに課題があるか、テコ入れするべきかを考える場合にに関してはシャープな解決をするための一助にはなると思います。

長文、失礼いたしました。
なにかご意見などあればTwitterのDMなどでご連絡ください。

アリアリ akesaka's note

マーケティングと音楽について